〜華〜



ドンッ―ドドンッ―


一つ大きな音と共に。
二つ、暗い夜空を輝かせるもの。
三つそれを見て、思わず出る感嘆のため息。


「永泉さん。どうですか?こちらの世界のお祭りは」
衣の袖を引き、うれしそうに尋ねる神子の姿。
「あれは花火って言うんです。綺麗でしょう?」
「そうですね。初めて拝見しましたが、趣深いものであると感じます」
そう言って、もう一度空を見上げて。

ドンッ――

見惚れるばかりのそれは闇夜を照らす。
刹那―その輝きは消え失せ、また星空は闇を迎える。
――儚い夢のような輝き…
そんな言葉が頭をかすめた。

神子と共にこの世界で歩む。
そう決めたのは、神子が私にとっての輝きだったから。
この世界で幾月かを過ごし、そして気づく。
それを失ったらまた私は闇夜を迎えてしまうのではないかという不安に。

――今の生活が、儚い夢のように消えてしまわないように。
――あの星空の華のように、輝きが散ってしまわないように。

明日の空に向かって、そう、祈りを捧げる。


ドドンッ――ドンッ―

最後の花火が一段と空を輝かせて――
――散ってしまわないで…
願った瞬間――
「永泉さん!お誕生日おめでとうございます」
――えっ?
「また来年も、再来年も見に来ましょうね」
神子の声が、花火の音と共に響いて――

ドンッ――ドドドンッ――

星空の華は未だ輝き続ける。

私は、ようやく言葉の意を掴み、
「ありがとうございます。また来年も見に参りましょう」
そう言って、神子の手を取る。

最後の華はゆっくりと散っていく。
だが、私の中のそれは美しく咲き続けるような気がして。


――あなたのお側にずっと居させてください


もう一度、明日の空へ向かって、そして神子に向かって、祈りを捧げた。
こちらの世界は明日が七夕の節句。
空に悠然と流れる天の川に私の想いが届くことを信じて――



〜あとがき〜

巴。のご希望により、SS付けてみました。
本当に短いです(爆)
いえ、浅海には永あか小説難産でして;
永泉さんの誕生日は7/6。
次の日は七夕だということで、ついでに平安時代から七夕はあったので、ネタにしてみました。
そ、それではっ(ダッシュで逃走〜)


〜ブラウザを閉じてお戻りください〜